月山堂遺跡  谷地の街の南端を東西に横切る国道287号からさらに三百メートルほど南に、月山堂とよばれる塚があります。その東側一帯では、耕作中に土器片が出土することが知られており、昭和三十年代に遺跡として登録されました。一帯に県営ほ場整備事業が実施されるのに先だって、昭和五六年に町教育委員会によって発掘調査が行われました。

 その結果、五棟の竪穴住居跡、カマド跡三カ所、井戸跡一基などが検出されました。遺物としては、土師器や須恵器などの土器、鉄の刃物や農具を研ぐのに用いた砥石、炭化米、モモの種、クルミなどが出土しました。土器の特徴によって、奈良時代から平安時代はじめ頃にかけて生活が営まれたことがわかります。全体としては日常的に使用された器や道具が多いのですが、「井」「吉」「万」などと墨書された土器片や、スタンプのような形の石製品も出土しており、当時の生活について想像がふくらみます。

 調査期間中に設けられた「町民参加発掘の日」は、多くの町民の参加を得て盛況だったという記録があります。この年まで熊野台遺跡、馬場遺跡、一の坪遺跡などの発掘調査が四年続いており、町民の考古学熱も高まっていた時期でした。