荒町上組の市神  市の立つ所には普通市神が祀られました。それらは無銘の自然石が多く、加工されたものや刻銘のあるものはほとんどありません。もともと市の立つ場所の目印として置かれたもので、それがいつしか市の繁栄を祈り、市神として祀られるようになりました。

 谷地に現存するものが八カ所、記録に残るものが一カ所で、その数は県内で最も多く、それぞれ月に数回もの市が開かれたとなると、毎日のようにどこかで市が開かれていたことになります。そんなことを思うと、近郷からも多くの人が集まり、過去のこの町のにぎわい振りが想像されます。その名残に北口市の中のお雛市が全国に知られる雛祭りとして、今も盛大に行われています。

 荒町にも四と八の日に開かれた上市、中市、下市がありました。上は神明様(荒町南)、中はお不動様(荒町中)、下は稲荷様(荒町北)で交互に市が開かれていました。市神は三カ所とも現存しています。荒町上組の市神は、神明様(皇太神社)のけやきの大木の空洞を祠として祀られています。小ぶりな自然石で、昔は力自慢の若者たちがこれを持ち上げて力比べをしたと伝えられています。そのほか、荒町には帷子市(麻織物)などもありました。それらは市の起源は、近世中頃からと言われており、明治中頃には衰退していきました。