「シルク・ロード」と言う名称は、ドイツの地理学者リヒトホーフェンが名付けたのであるが、紅花はこの道を長年かかって、中央アジアから中国に伝えられたと考えられる。紅花だけでなく、ぶどう・きゅうり・えんどう・ごまなどの食べ物のほか、楽器や舞踊・奇術などもこの道を通って中国に伝えられたという。

 紅花は中国へ来たあと、我が国には朝鮮半島を通って伝えられたと思われるが、その時期はいつ頃であろうか。

 我が国で最も古い公的な歴史に『古事記』がある。古事記は和銅4年(711)大安麻呂が元明天皇の命を受けてまとめたもので、上・中・下の3巻からなっている。そのうち下巻は仁徳朝から推古朝までのことを書いてあるが、その中に、紅花のことが4回出ている。紅花の記録としてはこれが最も古いもので、そこからも紅花伝来の時期を推測することができる。仏教が百済から伝えられたのは、欽明天皇の13年(538)とされているが、紅花もその頃朝鮮から伝えられたと考えてよいのではなかろうか。